行きすぎた愛国心からの、復讐心に駆られた死刑執行であるならば、それは恥ずべき行為

英国人の死刑執行 背景に中国の国内世論と外国の人権批判への反発 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/world/china/091229/chn0912291957007-n1.htm

中国において麻薬密輸の罪に問われた英国人に死刑執行されたようです。中国は勿論自由主義の国ではないですから、死刑になる罪や実際に死刑執行されることが多いですが、外国人にも容赦しないという強硬な姿勢には驚きました。

中国は独立国ですから、外国の治外法権はないので、中国国内の法律で裁かれるのが当然ですし、その法律で麻薬密輸罪が死刑になりえると規定されており、捜査上問題ないのであれば、死刑執行も止むをえないと思いますが、気になる点が幾つかあります。

 英国の人権団体によると、アクマル・シャイフ死刑囚はこれまで「資金がないのに会社を設立しようとしたり、音楽の経験がほとんどないのに歌手としてデビューしようとしたり」と、奇行を繰り返していた。英国が求めてきた精神鑑定をすれば、責任能力が認められず無罪になる可能性もあったという。

このような、精神鑑定を実施するべき要件があるにもかかわらず、

 19世紀半ばに起こったアヘン戦争と関連づけて報道するメディアすらあった。中国が歴史上受けた屈辱を引き合いに「中国はもはや英国の植民地ではない」といった感情論がそれだ。国際情報紙「環球時報」の世論調査では、98・8%が死刑を支持し、中国の司法が干渉されていると回答した者は96・7%にものぼる。

このように、感情的な世論に流されたのか、有無を言わさせず死刑を執行するというのは少々行きすぎではないかと感じます。

 今回、英国人の死刑囚が異例の早さで執行されたのは、昨年春のチベット騒乱以後、ブラウン英首相が中国の反対にもかかわらずチベット仏教の最高指導者ダライラマ14世と会見するなど、中国の人権問題を批判したことへの反発もあるとみられる。昨年の金融危機以後、国際社会における中国の影響力が増す中で、「中国は外国の指図を受けない」との強気の姿勢もうかがえる。

英国も中国もどちらもどちらなところがありますが、報復で死刑執行したとしたら、それはちょっと付きあいきれないなというのが正直なところです。I.S.は死刑制度の是非については判断を保留していますが、社会正義を実現し、秩序を維持するためではなく、prideや報復、敵対心からの死刑執行には断固反対ですし、裁判が世論に流されることがあってはならないとも思っています。