安全保障に関するもの以外の科学技術は国でなく企業に任せるべき

仕分け人必読!マイクロソフト幹部が語る 「日本の科学技術は宝の山」 - ダイヤモンド・オンライン
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捨てる神あれば拾う神ありということでしょうか。民主党を中心とする連立与党による事業仕分けによって嘗てないほど戦々恐々としている日本の科学技術界ですが、Microsoft幹部の目には魅力的に映るようです。

マイクロソフトの基礎研究がそれほどまでに充実しているとすれば、日本のアカデミアとの連携強化はなぜ必要なのか。そもそも、日本の科学の強みはどこにあるのか。

 なぜかと問われれば、まだまだわれわれの知らない有望な“知”が日本の大学や研究機関に眠っていると考えているからだ。たとえば、私は11月に初めて慶応大学を訪れたが、何人もの素晴らしい研究者と研究に出会い、正直驚いた。福島県会津大学にも行ったが、もっともっと貪欲に日本の学術界のことを知りたいと思う。

—しかし、日本ではむしろ若者の科学離れや企業のR&D削減の流れを受けて、科学技術力の低下が懸念されている。

 ここまで築き上げた日本の科学技術力については、もっと自信をもったほうがいい。繰り返すが、ハイパフォーマンスコンピューティングやロボット工学、環境分野などで世界をリードしている研究者は多い。

 ただ、もちろん大局的に見て、そのような懸念がまったくないとは言い切れないのも分かる。問題は、政府が未来を見据えた成長戦略の中で科学技術をどう捉えているかだ。未来を作るのは、科学技術の発展であると私は信じている。そのように言う政治家は多いが、大事なことはどう有言実行するかである。不況で足元ばかりに目を奪われて、確固たる評価の物差しもないまま、可能性の芽をいたずらに摘むようなことになれば、その国の未来は確かに明るくないと思う。

基本的に、国とは国土に根差した機関であって、確固たる世界戦略もないのに国が科学や技術に対してあれこれ口を出すのは分不相応だと思っています。国が株式会社的に他国と渡りあってきた時代は80年代に終わりました。

国のような、図体が大きく、富める者も貧しい者も等しく1票を有する集団が科学や技術を正しく導いていけるとは思えません。先の事業仕分けはそれを端的に露呈していたのではないでしょうか。

自由主義と民主主義を掲げる国であるのであれば、国が助成するべき科学技術とは偏に安全保障に関するものだけであり、それ以外は企業に任せるべきでしょう。