Minus金利は高齢者層には受け入れがたい制度

「マイナス金利」政策はいかが? - 磯崎 哲也 - アゴ
http://agora-web.jp/archives/799199.html

Minus金利についてはMichael Endeも導入の必要性を訴えていましたし、一時期はI.S.も色々と調べていました。結論から言えば、今の日本ではちょっと難しいと思います。

高齢者層が何故必死になって預貯金をしているかと言えば、「老後が不安だから」、これに尽きます。老いて、労働力も失い、人間的な魅力にも自信がないとなれば、お金を貯めこむしかないと考えるのは自然です。お金さえあれば自分が色々と不自由な状態になっても、野垂れ死ぬことはないということです。

それで割を食っている人たちもいます。Defrationです。皆がお金ばかりに価値を見出すようになると、お金の価値がどんどん上がって、それ以外の価値が下がっていきます。すると、お金を持っていない若年層は不利です。まあ、defrationの原因は技術革新や生産性向上など、他の要因もあるでしょうが。

若年層の未来はどうなってしまうのかと言うと、端的に言えば、高い生産性の職に就いていない人は高齢者層の介護を仕事にすることになるでしょう。お金を持っている高齢者層は介護してほしい、高齢者介護の現場は常に人手不足、若年層はお金を持ってないとなれば、そうなるのは必然です。高齢者層が自覚的にそのように誘導しているかどうかは別にして、高齢者層の漠然とした不安が結果的に若年層の将来を束縛しているのは事実でしょう。

となれば、高齢者層の悲願である老後の安心を脅かすminus金利の導入を高齢者層が見すごすでしょうか? そんなことはありえません。何のための預貯金だったのでしょうか。若年層を自分たちの老後の介護に確保するための預貯金です。それを目減りさせて、自分たちの介護をしてもらうはずの若年層に自由と可能性に賭けるchanceを与えるわけがありません。

今の日本のdefrationは勿論要因は色々とあるでしょうが、根本的には高齢者層を不安にさせる社会保障の不備が主な要因だと思います。それと、若年層の高齢者層に対する無関心も要因の一つでしょう。無関心だからお金を貯めて自分たちのほうに向かせるしかないというわけです。

これで問題なのは、団塊junior層はいくらお金に困っても高齢者層の介護などしないだろうなという点です。理由は明示しませんけど。それより下の世代はまた違うかもしれませんが。

色んなmismatchが日本を八方塞がりにしているかもしれませんが、これを打開するのはやはり個々人のinnovationしかないと思います。自分の都合だけで、あれがないこれがないと嘆いて、相手に負担を求めあうだけでは社会は前に進んでいかないでしょう。何か新しいことを社会に齎すような気概が若年層、高齢者層に限らず、全ての人たちに求められているとI.S.は思います。